<<MAY 2008 from MAMI FUJII>>
『家族からの旅立ち〜プチ留学〜』

それは予期せぬ突然の出来事でした。
夫の赴任で7年余り滞在したイギリスに再び花の勉強で行けることになるとは思いもよりませんでした。
出発のほんの1ヶ月位前、親しくしているインストラクター仲間からきた、イギリスプチ留学の電話にも、娘が高校を卒業するまでは、家族を残しての単身遠出旅行は無理と決め込んでおりましたので、私の中には現実味はありませんでした。ところが、ある先生の「藤井さんがイギリスに行けない理由は何? それらを書き出し、後は一つ一つ解決していけばよいことでしょう。自分の生徒さんを持って、何年か経った今だからこそ、自分の引き出しを広げるためにも渡英する良いタイミングではないかしら。」とのアドバイスを頂いた時、目が覚め、背中をポンと押された気持ちなりました。そうは言っても、石橋を叩いても、壊しても、なかなか渡りきれないアンチ行動派の私にとってみれば、これは一大事…。その日から一気に私の中でイギリス行きのgoサインが出たわけではありません。それでも、家族に“相談”と称して、話を持ちかけ快諾を得ると、自分の心も解き放たれるように、だんだんその気分になっていきました。一番最初にきっかけをくれた仲間に連絡して、生徒さんのレッスン日と自分達が出発できる日にちを調整すると、私にはあと二週間強しかありません。結果的には、もう少し先に渡英を考えていたその友人を巻き込んで出発を早めてしまったのは私でした。(ゴメンナサイ。)
なにせ、12年ぶりのイギリスです。パスポート、スーツケースのチェック、その上、冷凍庫に、家族の食料を作り置きする算段から始めてしまったので、やることは山積みで、ゆっくり心の準備をする暇もなく、あっという間に出発の日は来てしまいました。飛行機の窓から眼下に見えるきっちり配置されたオールドハウスは、正に14年前恋いこがれていた、全く変わることのない英国の風景です。空港に着き、小雨の混じったどんよりとした空も、6月なのにひんやりとした空気もイギリスの香りそのままでした。

マーヴェリー先生と2人の若い寮の先輩たちの笑顔に迎えられ、短い花修行は始まりました。主にモダンスタイル・レッスンだったのですが、教室には生花はもちろんのこと、ドライフラワー、木の実、ドライきのこ、古木、花器…等々、ありとあらゆる花材が揃えられ、枝一本から買う東京のマンション住まいの私には、庭からモス(こけ)まで採取できるレッスンは圧巻でした。と同時に、主婦にはどうしてもつきまとう、レッスン後の、“今夜の献立”や、家族の日々の雑事を考えずに花だけに集中できること、これも最高の環境の一つと言えるでしょう。
滞在中にヘレンハウスで英国王室チャールズ皇太子、カミラ妃主催のパーティーがありました。マーキーと呼ばれる日本のイメージとは全く違う大きなテント(パーティー会場)や貴賓室のアレンジ、夫人のブーケ作り等、マーヴェリー先生のお仕事に参加するチャンスを頂きました。オックスフォードに向けて朝早く出発し、昼食も車の中というハードな日程にも関わらず、私達はそれほど疲れを感じませんでした。ゆったりとした時の流れの中で仕事が出来た事、それはなぜかと問えば、先生が私達に下さった言葉、“催事は段取り8割で決まる”との答えでした。準備さえ完璧に出来ていれば、後の2割はそのとおりに動くだけ、という事なのでしょう。 先生のお陰でその意味を体感し、本当に勉強になりました。

マーケットで仕入れ
マーケットで仕入れ ヘレンダグラスハウスにて

今思えばあっという間の10日間でしたが、一刻一刻、時はゆっくり、ゆったりと流れていたような記憶があります。この地に、又、戻って来られる日を夢見ております。
次回は、まだ一度もこういうイギリスを味わったことがない生徒さん達と共に、そして4歳まで生まれ育ちながら、ほとんどイギリス生活の記憶の無い娘を伴って・・・。
【藤井 真実  板橋ときわ台教室】


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